クローン病とは
クローン病は、口から肛門までの消化管のどこにでも慢性的な炎症が起こる病気です。特に小腸や大腸に炎症が起こることが多く、腹痛や下痢、体重減少などを繰り返します。
炎症が強くなる「活動期」と、症状が落ち着く「寛解期」を繰り返すことが特徴で、長期間にわたり治療が必要となる病気です。
クローン病は厚生労働省が定める指定難病(指定難病96)の一つです。日本では患者数が年々増加しており、以前ほど珍しい病気ではなくなっています。
現在のところ病気そのものを完全に治すことは難しいものの、生物学的製剤や分子標的薬など治療法は大きく進歩しており、多くの患者さんが良好な状態を維持できるようになっています。
一方で、腹痛や下痢、体重減少などを起こす病気はクローン病以外にも数多くあります。感染性腸炎や潰瘍性大腸炎、腸結核などとの区別が重要であり、慎重な診断が必要です。
主な症状
以下のような症状がみられます。
- 下痢
- 腹痛
- 血便
- 発熱
- 体重減少
- 食欲低下
- 倦怠感
- 貧血
- 肛門の痛み
- 痔ろう
- 肛門周囲膿瘍
- 肛門から膿が出る
クローン病では小腸に病変ができることが多いため、血便よりも腹痛や下痢、体重減少が目立つ方も少なくありません。
また、痔ろうや肛門周囲膿瘍などの肛門病変が最初の症状となることもあります。
重症になると、
- 腸閉塞
- 穿孔
- 腹腔内膿瘍
- 高度の栄養障害
などを起こすことがあります。
原因
クローン病の原因は現在も完全には分かっていません。
発症には、
- 免疫機能の異常
- 遺伝的な要因
- 腸内細菌の変化
- 食生活などの環境要因
などが複雑に関与していると考えられています。
食事だけが原因で発症する病気ではありません。
また、ストレスによって症状が悪化することはありますが、ストレスだけで発症する病気でもありません。
クローン病は治りますか?
現在の治療では病気そのものを完全になくすことは難しく、基本的には長く付き合っていく病気です。
しかし、適切な治療によって炎症を抑え、症状のない「寛解」を長期間維持することは十分可能です。
治療の目標は、
- 腹痛や下痢などの症状を改善する
- 腸の炎症を治す(粘膜治癒)
- 再燃を防ぐ
- 狭窄や瘻孔などの合併症を防ぐ
- 手術をできるだけ避ける
- 良好な生活の質(QOL)を維持する
ことです。
症状がなくなっても炎症が残っていることがあるため、自己判断で薬を中止しないことが大切です。
診断は慎重に行う必要があります
腹痛や下痢だけで、クローン病と診断できるわけではありません。
似た症状を起こす病気には、
- 感染性腸炎
- カンピロバクター腸炎
- サルモネラ腸炎
- 腸結核
- エルシニア腸炎
- 潰瘍性大腸炎
- ベーチェット病
- 虚血性腸炎
- 過敏性腸症候群(IBS)
- 大腸がん
などがあります。
これらを除外しながら、
- 症状
- 血液検査
- 便検査
- 大腸カメラ
- 小腸検査
- CT・MRI
- 組織検査
などを総合して診断します。
免疫を抑える治療を始める前には、感染症を十分に除外することが重要です。
検査について
大腸カメラ検査
クローン病の診断で最も重要な検査の一つです。
大腸カメラでは、
- 炎症の有無
- 潰瘍の形
- 病変の広がり
- 他の大腸疾患との鑑別
などを確認します。
クローン病では、
- 縦走潰瘍
- 敷石像(コブストーン像)
- 非連続性病変(スキップ病変)
などが特徴となります。
必要に応じて組織検査を行います。
小腸検査
クローン病では小腸病変が多いため、
- MRエンテログラフィ
- CTエンテログラフィ
- 小腸内視鏡
- カプセル内視鏡(狭窄が疑われない場合)
などを組み合わせて評価します。
血液検査
以下の項目などを確認します。
- 炎症反応
- 貧血
- 栄養状態
- 肝機能
- 腎機能
- ビタミン不足
- 薬の副作用
便検査
感染症との鑑別や炎症の程度を調べるために行います。
便培養検査や便中カルプロテクチンなどを使用することがあります。
病変ができやすい場所
クローン病は口から肛門までのどこにでも病変ができます。
特に多い部位は、
- 小腸
- 回盲部(小腸と大腸の境目)
- 大腸
です。
また、
- 肛門病変
- 口内炎
などを伴うこともあります。
治療方法
病変の場所や重症度、狭窄や瘻孔の有無などに応じて治療を選択します。
栄養療法
クローン病では栄養療法が重要な治療の一つです。
成分栄養剤や消化態栄養剤を用いることで炎症を抑え、再燃予防にも役立つことがあります。
5-ASA製剤
病状によって使用されますが、潰瘍性大腸炎ほど高い効果は期待できません。
ステロイド
活動期の炎症を抑えるために使用します。
長期間の維持治療には適していません。
免疫調節薬
再燃を繰り返す場合や、生物学的製剤と併用する場合などに使用します。
生物学的製剤・分子標的薬
現在のクローン病治療の中心となる薬です。
従来の治療で十分な効果が得られない場合や、中等症から重症の患者さんに使用します。
手術
以下のような場合には手術が必要になることがあります。
- 腸閉塞
- 狭窄
- 瘻孔
- 穿孔
- 膿瘍
- 薬物治療で改善しない
クローン病では手術を行っても病気そのものは治癒せず、再発する可能性があります。そのため、手術後も内科的治療を継続することが重要です。
指定難病と医療費助成
クローン病は指定難病96に定められています。
一定以上の重症度を満たす場合や、医療費が高額になる場合には、申請によって医療費助成を受けられることがあります。
ただし、クローン病と診断されれば全員が自動的に助成対象となるわけではありません。
申請には指定医が作成する診断書などが必要です。
放置するとどうなる?
炎症が続くと、
- 狭窄
- 腸閉塞
- 瘻孔
- 膿瘍
- 栄養障害
- 貧血
- 手術が必要になる
- 小腸がん・大腸がんのリスク上昇
などにつながる可能性があります。
そのため、症状が落ち着いていても定期的な通院が重要です。
日常生活で気を付けること
活動期には、
- 消化のよい食事を心掛ける
- 脂っこい食事を控える
- 十分な栄養を摂る
- 禁煙する
- 水分を十分に摂る
- 十分な睡眠を取る
- 処方薬を自己判断で中止しない
ことが大切です。
特に喫煙はクローン病を悪化させることが知られており、禁煙が強く勧められます。
受診の目安
以下のような症状がある場合は、消化器内科への受診をおすすめします。
- 下痢が長く続く
- 腹痛を繰り返す
- 体重が減ってきた
- 血便がある
- 肛門から膿が出る
- 痔ろうを繰り返す
- 発熱が続く
すでにクローン病と診断されている方で、
- 腹痛が急に強くなった
- 食事ができない
- 発熱が続く
- 血便が増えた
- 嘔吐がある
場合は、早めに主治医へ相談してください。
よくある質問(FAQ)
クローン病は治りますか?
現在の治療では完全に治すことは難しい病気ですが、適切な治療を続けることで長期間症状を抑えられる方が多くいます。
手術をすれば治りますか?
手術をしても再発する可能性があります。手術後も内科的治療を継続することが重要です。
食事だけで治せますか?
食事は重要ですが、食事だけで治すことは困難です。薬物療法や栄養療法を組み合わせて治療します。
タバコは吸っても大丈夫ですか?
喫煙はクローン病を悪化させることが知られています。禁煙をおすすめします。
仕事や学校には通えますか?
症状が安定していれば通常どおり生活できる方が多くいます。再燃時には治療や休養が必要になることがあります。
クローン病は遺伝しますか?
遺伝的な要因はありますが、必ず家族に遺伝する病気ではありません。
消化器専門医からひとこと
クローン病は若い世代に発症することが多い慢性炎症性腸疾患で、日本でも患者さんは増加しています。現在のところ完全に治すことは難しい病気ですが、治療法は大きく進歩し、多くの患者さんが仕事や学校生活を送りながら良好な状態を維持できるようになっています。
一方で、腹痛や下痢、体重減少などはクローン病以外の病気でも起こるため、症状だけで自己判断することはできません。当院では、大腸カメラや小腸検査、便検査、画像検査などを組み合わせ、慎重に診断・治療を行っています。
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当サイトについて(開業準備中)
本ページは、大分市に開業予定の消化器内科・内視鏡専門クリニックの開業準備サイト内の疾患解説ページです。現在は開業準備段階であり、診療は行っておりません。
※本ページは一般的な医療情報の提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療に代わるものではありません。腹痛や下痢、血便、体重減少などが続く場合は、医療機関への受診をおすすめします。
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