急性膵炎とは
急性膵炎とは、消化酵素を作る膵臓に急激な炎症が起こる病気です。
膵臓で働くはずの消化酵素が膵臓自身を傷つけることで炎症が起こります。
軽症で数日から1週間程度で改善するものから、全身に炎症が広がり、命に関わる重症例までさまざまです。
日本では毎年多くの方が急性膵炎を発症しており、早期の診断と適切な治療が重要です。
軽症では回復が期待できますが、重症急性膵炎では集中治療が必要となることがあります。重症例では死亡率が高くなるため、発症早期から重症度を評価し、必要に応じて専門医療機関で治療を行うことが大切です。
主な症状
急性膵炎では、次のような症状がみられます。
- 突然のみぞおちの強い痛み
- 左上腹部の痛み
- 背中へ広がる痛み
- 吐き気
- 嘔吐
- 発熱
- 食欲低下
- お腹の張り
腹痛は持続することが多く、前かがみになると少し楽になることがあります。
重症になると、次のような症状を伴うことがあります。
- 血圧低下
- 呼吸困難
- 意識障害
- ショック
急に強い腹痛が起こった場合は、我慢せず早めに医療機関を受診してください。
急性膵炎の原因
急性膵炎には、さまざまな原因があります。
主な原因
- 胆石
- アルコール
- 高トリグリセリド血症
- 薬剤
- ERCP(内視鏡検査・治療)
- 外傷
- 膵腫瘍
- 原因不明(特発性)
日本では、男性ではアルコールが原因となる急性膵炎が多く、女性では胆石が原因となる急性膵炎が多いことが知られています。
胆石が胆管の出口付近に詰まると、膵液の流れが妨げられ、急性膵炎を発症することがあります。
また、中性脂肪が著しく高い場合や、一部の薬剤が原因となることもあります。
放置するとどうなる?
急性膵炎を放置すると、炎症が膵臓周囲や全身へ広がることがあります。
重症化すると、次のような状態を起こす可能性があります。
- 膵臓の壊死
- 感染
- 呼吸不全
- 腎不全
- 多臓器不全
- ショック
- 敗血症
- DIC(播種性血管内凝固症候群)
重症急性膵炎では、集中治療室(ICU)での管理が必要になる場合もあります。
早期に適切な治療を開始することが重要です。
急性膵炎発症後の合併症
急性膵炎では、発症直後だけでなく、炎症が落ち着いた後に合併症が見つかることがあります。
局所合併症
膵臓やその周囲には、次のような合併症が起こることがあります。
- 急性膵周囲液体貯留
- 膵仮性嚢胞
- 壊死性膵炎
- 被包化壊死(WON)
- 感染性膵壊死
- 消化管の狭窄
- 出血
膵仮性嚢胞や被包化壊死は、発症から時間が経過した後に明らかになることがあります。
感染や圧迫症状、出血などを伴う場合には、内視鏡治療、経皮的ドレナージ、外科治療などが必要になることがあります。
全身合併症
急性膵炎による強い炎症が全身へ及ぶと、次のような合併症を起こすことがあります。
- 呼吸不全
- 腎不全
- 循環不全
- 敗血症
- DIC
- 栄養障害
長期的な合併症
急性膵炎から回復した後にも、次のような影響が残ることがあります。
- 糖尿病
- 膵外分泌機能低下
- 消化吸収障害
- 体重減少
- 慢性膵炎への移行
- 急性膵炎の再発
膵臓から出る消化酵素が不足すると、脂肪便や下痢、体重減少などがみられることがあります。
重症例や合併症を起こした方では、退院後も定期的な経過観察が必要です。
急性膵炎の検査
血液検査
血液検査では、主に次のような項目を確認します。
- アミラーゼ
- リパーゼ
- 炎症反応
- 白血球数
- 肝機能
- 腎機能
- 電解質
- 血糖値
- 中性脂肪
胆石性膵炎では、肝機能や胆道系酵素の異常を伴うことがあります。
ただし、アミラーゼが正常でも急性膵炎を完全には否定できないため、症状や画像検査と合わせて診断します。
CT検査
CT検査は、急性膵炎の診断や重症度評価、合併症の確認に重要です。
CTでは、次のような点を確認します。
- 膵臓の腫れ
- 炎症の広がり
- 膵壊死
- 膵周囲の液体貯留
- 出血
- その他の合併症
症状や経過に応じて、繰り返しCT検査を行うことがあります。
腹部超音波検査(腹部エコー)
腹部エコーでは、主に次のような点を確認します。
- 胆石
- 胆のう炎
- 胆管の拡張
- 肝臓や胆のうの状態
特に胆石性膵炎が疑われる場合には、原因を調べるために重要な検査です。
一方で、膵臓は腸管ガスの影響などで見えにくいことがあります。
MRI検査(MRCP)
胆管結石や膵管の異常が疑われる場合には、MRIを用いたMRCPを行うことがあります。
胆管や膵管を詳しく観察でき、ERCPが必要かどうかを判断するためにも役立ちます。
急性膵炎の治療
急性膵炎では、原因や重症度に応じて治療を行います。
基本的には入院治療が必要となることが多く、重症度を繰り返し評価しながら治療を進めます。
基本的な治療
主な治療は次のとおりです。
- 輸液
- 痛み止め
- 酸素投与
- 栄養管理
- 原因に対する治療
以前は長期間の絶食が行われることもありましたが、現在は病状が許せば早期に食事や経腸栄養を開始することが重視されています。
胆石性膵炎の治療
胆管炎や胆管結石を伴う場合には、ERCPを行い、胆汁の流れを改善したり胆管結石を取り除いたりすることがあります。
回復後には、急性膵炎の再発を防ぐため、胆のう摘出術を検討します。
重症急性膵炎の治療
重症例では、次のような治療が必要になることがあります。
- ICUでの全身管理
- 人工呼吸管理
- 循環管理
- 腎代替療法
- 経腸栄養
- 内視鏡的ドレナージ
- 経皮的ドレナージ
- 外科治療
感染性膵壊死などの合併症がある場合には、患者さんの状態や発症からの時期を考慮して治療方法を選択します。
再発予防について
急性膵炎を一度発症した方では、原因に応じた再発予防が重要です。
次のようなことを心掛けましょう。
- アルコールの飲み過ぎを避ける
- アルコール性膵炎では禁酒する
- 胆石を適切に治療する
- 中性脂肪を管理する
- 糖尿病を適切に治療する
- 処方薬を自己判断で中止しない
- 医師の指示に従って定期検査を受ける
原因が改善されない場合には、急性膵炎を繰り返すことがあります。
受診の目安
次のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 突然のみぞおちが強く痛み始めた
- 背中まで広がる腹痛がある
- 強い吐き気や嘔吐がある
- 発熱を伴う腹痛がある
- 食事や水分を取れない
- 黄疸がある
次のような場合は、救急受診が必要です。
- 激しい腹痛が続く
- 呼吸が苦しい
- 意識がもうろうとする
- 冷や汗が出る
- 血圧が低い
- 尿が出ない
- 顔色が著しく悪い
よくある質問(FAQ)
急性膵炎は治りますか?
軽症であれば、適切な治療によって改善することが多くあります。
一方、重症例では命に関わることがあり、集中治療や専門的な治療が必要になる場合があります。
急性膵炎は再発しますか?
再発することがあります。
特にアルコールや胆石、高トリグリセリド血症など、原因が改善されていない場合は再発しやすくなります。
急性膵炎では手術が必要ですか?
多くの場合、発症直後に手術を行うわけではありません。
ただし、胆石性膵炎では回復後に胆のう摘出術を行うことがあります。また、感染性膵壊死などを合併した場合には、内視鏡治療や外科治療が必要になることがあります。
食事はいつから食べられますか?
症状や全身状態を確認しながら、医師の判断で食事を再開します。
病状が許せば、長期間絶食するのではなく、比較的早い時期から食事や経腸栄養を開始することがあります。
急性膵炎の後も通院は必要ですか?
原因や重症度によっては、退院後も定期的な通院が必要です。
膵仮性嚢胞や被包化壊死などが後から見つかることもあるため、画像検査や血液検査を行う場合があります。
急性膵炎の後に糖尿病になることはありますか?
あります。
特に重症例や膵壊死を伴った場合には、膵臓の機能が低下し、糖尿病を発症することがあります。
お酒は飲めますか?
アルコールが原因の場合は、原則として禁酒が必要です。
その他の原因でも、再発予防のため飲酒を控えるよう勧められることがあります。飲酒再開については、主治医と相談してください。
消化器専門医からひとこと
急性膵炎は、軽症で改善する方がいる一方で、重症化すると命に関わることもある病気です。
日本では、男性ではアルコール、女性では胆石が原因となることが多く、発症後は原因を明らかにして再発を予防することが重要です。
また、急性膵炎は一度症状が改善しても、膵仮性嚢胞や被包化壊死、感染性膵壊死などの合併症が後から明らかになることがあります。
重症例では糖尿病や消化吸収障害が残ることもあるため、退院後も病状に応じた経過観察が必要です。
突然の強いみぞおちの痛みや、背中まで広がる腹痛がある場合は、我慢せず速やかに医療機関を受診してください。
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当サイトについて(開業準備中)
本ページは、大分市に開業予定の消化器内科・内視鏡専門クリニックの開業準備サイト内の疾患解説ページです。現在は開業準備段階であり、診療は行っておりません。
※本ページは一般的な医療情報の提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療に代わるものではありません。突然の強い腹痛、背中まで広がる痛み、発熱、嘔吐などがある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
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